4/19/2012

高校の評価

アメリカには1万9千程の高校があります。毎年首席(Val) 、次席(Sal) 卒業生が各高校に居ます。高校によってはWeighted GPAで差を付けずUnweighted GPAを使い複数の首席卒業生を持つ高校もあります。こうなると卒業式で代表スピーチをする2万を超える1番、4万を超える1番か2番と優秀な卒業生が生まれています。USNewsに上位10~20の大学の新入生枠は4万人有りません。ましてやHarvard大学は2千人強に合格通知を送ります。狭き門、厳しさが理解できるのではないでしょうか。


ランキング上位の私立名門大学へは学力だけでなく、その他課外活動やエッセイ等で志願者の資質や魅力が大切な事を再度にわたり紹介しました。高校で首席やSATで満点のスコアでもなかなか合格をいただけません。これは、多くの優秀な生徒達が志願するからであり決して学力審査が二の次になっているのではありません。最近のHarvard大学博士課程の学生Rachel B. Rubinが行った調査がここに紹介されていますが、一定の基準に達した学力が必要なのは分かるでしょう。

受験テクニックや予行演習等でスコアが上げられる事や家庭環境と家庭資産や収入とスコアの関係などからSATのスコアへの評価が疑問視され、GPAの重要性が強調されている昨今です。そうなると、Havrard大学の枠が高校の首席の数より少ない現実。首席や次席だけでなく複数の卒業生を毎年送る有名高校も数あります。こうなってくると、高校の名前は、高校の評価は関係あるのでしょうか。

これはNJ州の雑誌によるNJ州内の公立高校のランキングです。ここでは、高校入学への審査がある特殊な公立や私立が含まれて居ません。NJ州で歴史的に全体で一定した裕福なカウンティとされるバーゲンカウンティのTenafly(3位)、Pascack Hills(12位)、Pascack Valley(25位)、Park Ridge(31位)の大学進学状況の資料かプロファイルを見てみましょう。いずれも上位10%内にランクされている高校です。教育を重視している町なのが分かります。これらの高校は全て車にて十数分で行き来できる程近所です。グーグルマップによると隣合せの町のようです。各町の平均年収や家の購入価格も差がありません。お子さんが小学生時に家を探していれば、どの町に落着いていても不思議ではありませんし、教育環境の良い町だと安心していると思います。

Tenafly高校はHarvard大学やYale大学へ複数の生徒を、殆どのUSNews上位総合大学へ生徒を送っています。300人の学級なので、上位10%へ割込んでいれば優秀な大学への進学が期待できます。HYPへの進学も首席や次席の必要性もありません。Tenafly高校の大学合格と入学詳細

Pascack Hills高校もHarvard大学やYale大学へ生徒を送っていますし、USNewsの上位総合大学の名前が並んでいます。しかし、Pascack Hills高校の大学合格と入学詳細を見ると毎年HYPへ学生を送れていません。USNews上位校へは毎年送っています。HYPへ進学するには首席や次席に位置する必要性を感じさせられます。200人程の学級ですから、上位5%程度の10人位が上位20位内の大学へ進学していると予測されます。

Pascack Valley高校から、幾つかの上位校が欠けています。Pascack Valley高校の大学合格詳細からも、上記2つの高校より見劣りします。首席や次席とかなり上位でないと名門への進学が厳しいことが感じられます。

Park Ridge高校は、USNews上位校の名前が見当たりません。Park Ridge高校の大学合格詳細を見ても、かなり合格大学のレベルに差を感じてしまいます。

この差は、高校カウンセラーの力量によるもの。高校のレベルによる物。生徒の質によるものと理由付けされています。しかし、上記例の高校はどれも州内公立高校間では上位にランクされ裕福な地域、近所にあります。Park Ridge高校の首席の生徒がTenafly高校で首席を取れない能力の生徒とは言い切れません。もし、Tenafly高校へ進んでいればそこで首席の可能性もあります。また、上位10%に割込んでいる可能性も高いのではないでしょうか。SATのスコアだけでは上位私立名門大学への合格を勝ち取ることが出来ません。今まで進学させた実績のない高校から新しく名門大学への合格獲得への厳しさは良く知られた事です。こうなってくると、高校の名前、過去の実績が合格への評価から無縁とはいえません。

HPで各高校の進学状況が知れべられる時代になり、若い世代の家庭でも高校卒業生の進学先を家探しをする選択項目としている方々が現れています。アメリカ国外でも、インターナショナルの高校選択の重要な項目です。首席や次席になることが同等に評価されているとは限りません。

(日本からの読者の方で注意して頂きたいのは、アメリカでは高校も義務教育なので住んでいる地域内高校進学への入試はありません。家やアパートの所在地で進学高校が決まります。もう1つ、上記高校全てからのLACへの合格や進学が非常に少ないのに気付かれましたでしょうか。アメリカ国内でもLACへの知名度は低く、LACへの進学は特殊です。)

10 件のコメント:

  1. Rubinさんのリサーチについて書かれた記事も
    大変興味深いものですね。
    Academicを最初にみるか、Fitを先に見るか、
    でも最終的にはAdd Commにかけられるわけですから
    こうなったら、もう「運」ですね。

    やるだけの事をやって、あとは運に任せるしかありません・・・・

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  2. Rubinさんのレポートには21%の13校がFitを先ず篩いにかけるとしていますが、「我が大学への志願者全員成績が優秀なのでFitから選んでも後で成績で問題が発生し無い」のコメント/理由がでています。上位校ではどちらからはじめても同じような結果になるようで。

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  3. 結局のところ、成績が優秀である事が一流私立の場合、大前提となるという事ですね。限られた席数しかないわけですから、大学側とたら、それこそ選り取り見取りでしょう。
    それからアメリカでもLACの知名度が低くLACへの進学が特殊というのは意外でした。本家本元でそうなのですね。

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  4. 「上位10%へ割込んでいれば優秀な大学への進学が期待できます」の「上位10%」という数字に疑問があります。この場合の上位とは、「クラスランク=成績優秀者」ととれますが、いかがでしょうか。

    現在子供の在籍する高校の2011年度matriculation listによれば、昨年度、この高校からはHYPSM に計52人、Ivy(8校) に計78人進学しています。重複も含めれば、合格者数はこの数字を相当うわまるものと思われます。ただ、ここには、「GPA, SAT, その他各種Awards」に示されるところのacademic な優秀さとは別の物差で測られた数字が含まれています。受験者全体のscattergram からも推測できるように、「上位何%」といったacademic のみでは判断できない、Recruited (スポーツ枠), Legacy, Affirmative Action (含First Generation University)による合格者がこの高校では全体の半数を占めています。

    毎年Spring Semester の始業式にはseniorに向け、校長が、college decision における「unexpected turnout」について話をするそうです。大学にも「institutional needs」があること、そして大事なのは高校で培ったものを土台に、「大学で何を学び、どう次のステップにつなげていくか」focusを失う事のないようにとのメッセージだそうです。事実、予期せぬ結果を受け取る生徒は多いようですが、よく聞いてみると、それらの多くに「説明できる理由」があるそうです。

    子供の話なので、確証はありません。ただ、「数字」の背後にあるストーリーは、彼らの話から伝わってきます。「現実」をいかに直視できるか。アメリカの高校に在籍し、アメリカ社会の中にて受験するという立ち位置。「インター/日本人枠」とは別の「Asian American」として、在籍する学校/地域のプールで戦うこと。それらの意味合いを、子供は高校生の今、肌で感じているようです。

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  5. メイルにておせわになりました2012年4月24日 10:25

    匿名さん

    この投稿は、子供の高校選択に関する私の質問への回答からだと思います。ここの「上位10%に割込んでいれば期待 できる」のはこの例に使われたT高校だけでしょう。他の紹介されている3高校では、上位10%では名門大学へ の進学が期待できないのが窺えます。単にどの高校でも成績が上位10%以内なら充分でない例でしょう。

    Sunday Driverさんは、度々学業以外の事柄による大学側の判断基準と大切さを強調されています。それによ り、Sunday Driverさんが、「名門大学は成績に注目していないと語られている」と思われている方々がいるの を杞憂されていました。それ故最近は、成績の優秀さも必要と言われているのでしょう。

    持家購入予定ですが、モーゲージ支払いで子供を私立高校へはとても送れません。でも、公立高校選択は単純 でない。自分の学校内で優秀な成績でも充分でなく、自分の高校の評価によって合格先が左右されるのは辛い ところがあります。

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    1. 私の前述のコメントは、大学進学/合格者数で示される「高校の名前、過去の実績」に惑わされることへの危険性を指摘するものでした。子供の在籍する高校は、一般にいわれるところの「成績優秀者の集団的学校」で、入学した時点で「優秀さ」ではドングリの背比べ状態です。(高校入学の段階ですでにRecruited (スポーツ枠), Legacy, Affirmative Action 枠はありました。)

      ただ、かつて名門大学へのfeeder schoolと言われていたこの高校は、現在、feeder として難しい立場にあります。アメリカの大学が必要とするinstitutional needs が多くの学生の前に立ちはだかり、「成績優秀さ」だけでは説明できない結果が彼らを待っているからです。Common App 導入により受験者増加が加速する中、無名の高校が切り捨てられ、在学する高校内での競争が激化していく。この現実を多感な時期にある高校生が、どう感じ、考え、生き抜いていくか。大学は「何」を学生に求め、今後その審査過程をどう変えていくのか。

      こちらの投稿で引用されたRachel B. Rubinは私の後輩です。彼女の最後にあるコメント "I always think more information is better and transparency is better, but I worry applicants might tailor their applications too much" if they knew more, she said. は興味深く、何万通と届くapplications の中から、本物を見つけていくadmission officers の力量と、それぞれの大学受験戦争を生き抜いていく子供達の将来を楽しみにしています。

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  6. Ivy各校feeder高校からの合格者がここ数年減り続け割合が大きく下がっています。その上feeder校からのlegacyやスポーツ選手の比率がはっきりと現われる場合があり、non-feeder高校より「Institutional Needs」があらわにされます。多くの生徒と送る分成績順位による日本的上位からの区分けになりません。そこからくるフラストレーションもあるとお察しします。

    その逆に、diversityにより、今までになく新しい高校からのIvyへの入学も幅広く広がっているのも事実です。決して、無名の高校が切り捨てられているとは断言できないでしょう。過去に1人も送ったことの無い高校から新しく切り開いての機会作りの厳しさとfeeder校の維持同様難しいものでしょう。ただ、過去の実績により高校内順位やInstitutional Needsにより査定対象になる分、無名の理由や実績の無い理由で切り捨てられたり保留にされるよりも、とされるカウンセラーもいます。

    匿名さんのお子様は素晴らしい高校に在籍されているようで、羨ましいかぎりです。

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    1. Sunday Driverさんのサイトは、アメリカ「大学」進学希望者向けのものでしたね。適切でないコメントの投稿でした。お許し下さい。

      無名の高校が切り捨てられているというのは、強すぎる言い方でした。確かに私のコメントは、feeder校で学ぶ子供達が感じているresentmentを代弁するかたちになっていたかもしれません。私個人としては、今この現実を直視することが、彼らの将来の大きな糧になるだろうと思ってはいるのですが。

      おそらく、無名の高校にいても、feeder校にいても、子供自身に大学のブランドに縛られない「何か」を求める力と、そういった子供の背中を後押ししてくれる「誰か」がいれば、道は開けてくるのではないかと思います。キャリアを構築していく、チャンスに恵まれた国ですから、アメリカは。理想論/精神論にしか聞こえないかも知れませんが。

      この時期、多くの学生が”End justifies the means.” という思考回路に陥ってしまいます。「学びの場」ではなく、「戦いの場」となってしまった高校でみられる現象でしょう。前述の校長は、義務教育を終えアメリカ社会の一員として巣立っていく18歳の生徒達に、「足下ばかりをみるな」「急いで結果をだそうとするな」”Be good!” というメッセージを伝えたかったのだと思います。

      今後とも、方法論としてのアメリカ大学進学情報の発信、お願いいたします。

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    2. 大学進学ブログやフォーラムでは「自分を発見し、自分を育て、将来の自分と学友に磨きをかけて目的で大学へ進む」ではなく、(優れた)就職目的で大学へ進むのが主流になっています。不況により影響もあるのでしょうが、結果ばかり見ているのは匿名さんのおっしゃるとうりです。

      HYPをはじめ私立名門大学やLACへ進むことによる学園での経験や学友との交流による刺激は後回しになり、リクルート先の企業名や就職先が大きく取扱われます。

      進学先大学のブランド名の価値とコストの評価を就職目的を基準にして定めるも、教育の機会を基準に定めるも各家庭の判断です。私立名門のブランド、LACのブランド、フラッグシップ州立のブランド。ブランドとする所以次第でそれぞれの大学評価と進学先の価値判断の違いとなるのでしょう。

      その判断思想、能力、分析力は何処で学ぶのでしょうか、親や家庭から、高校教育から、大学教育から。

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    3. 親、次に子供が初めて親元を離れて過ごす環境、ということでしょうか。

      ボーディングスクールに四年間在学するということは、14歳で寮生活を始めるということです。14歳の子供の成長の度合いは様々で, 個々の資質、readiness、置かれる環境をもとに、慎重に判断しなければなりません。故に、高校入学審査では、面接、親のエッセーは必須となります。アメリカでは大学進学を期に親元を離れるのが一般的ですが、18歳で子供を送り出す方がリスクは明らかに少ないのではないでしょうか。

      14歳で「ボーディングスクールに進学したい」という子供の意志に”GO”サインをだすか否か、それは吉と出るか凶と出るかの大きな賭けです。ただ、ここで子供達が培ったものが彼らの人格形成に確固として根付く限り、卒業生達は「ぶれない力」を持って、それぞれの大学進学先、キャリアで素晴らしいサクセスストーリーを描いていきます。親元を離れ共に高校生活を生きてきた同志は、かけがえのない宝となります。

      では、ボーディングスクールに通う生徒達が寮生活を通して学ぶ判断思想、能力、分析力は、ボーディングスクールという特殊な環境でしか体得できないものなのでしょうか。私は、親元にいても、充分可能であると思っています。逆に、子供の精神的成熟度からしても、14歳でボーダーにすることのリスクは高い。HYから同大学院に進学するときに有利であるとされるundergraduate 在学中からの院の教授との繋がり、一部名門大学で聞かれるgrade inflation という要因は、ボーディングスクールから名門大学受験では働きません。親は側にいない、いられない。子供のresiliency と、親の「失敗するチャンス」を与える覚悟、が問われます。

      大学進学を期に子供を巣立たせる方々が「環境」を重視する点では同様のことがいえるのではないでしょうか。Sunday Driver さんの一連の「大学のSelectivity」に関する投稿に通じるものを感じます。

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