5/16/2011

LACsとResearch Universitiesの比較

ヨーロッパの歴史的背景を引継ぎ、米国の高等教育がLiberal Educationの考えを基本にして発展してきました。20世紀後半これにProfessional Educationの強調と共に特殊業種に関連した技術教育が高等教育に求められるようになり、Liberal Educationの中にプロフェショナル向きのクラスを取込いる大学(多くのIvyとLAC等)や、プロフェショナルとLiberal Educationを分けている大学(Cornell、UPenn, JHU)と分かれてきました。Liberal EducationとLiberal ArtsはAssociation of American Colleges and Universites(AACU)で以下と定義されています。

Liberal Educationの定義
Liberal Education is an approach to learning that empowers individuals and prepares them to deal with complexity, diversity, and change. It provides students with broad knowledge of the wider world (e.g., science, culture, and society) as well as in-depth study in a specific area of interest. A liberal education helps students develop a sense of social responsibility, as well as strong and transferable intellectual and practical skills such as communication, analytical and problem-solving skills, and a demonstrated ability to apply knowledge and skills in real-world settings.

Liberal Artsの定義
Specific disciplines (the humanities, social sciences, and sciences).

AACUは20世紀のLiberal Educationは、LACsやUniversitiesのCollege of Arts and Science(A&S)にて一般教育とA&S専門教育を通して知識と人格の発達を促す事としています。AACUはLACを以下としいます。

LACの定義
A particular institutional type—often small, often residential—that facilitates close interaction between faculty and students, and has a strong focus on liberal arts disciplines.

Universitiesの大学院や研究部門、プロフェショナル向け学部等が強調され誤解をされたりしますが、Universities内のCollege of A&SとHYP等のCollege(大学課程)とLACsは皆同じ目的を少し違ったかたちで生徒に届けているのです。LACsとUniversitiesの特徴を議論する時には、この目的を届ける方法の違いに注意する必要があります。AACUは数年前にCollege of A&SとLACs等Liberal Educationを目的としている教育機関のグローバル化された21世紀に向かって新しいステートメントを出しています。読んでみて下さい。

College Learning for the New Global Century

当サイトを含め最近LACを強く斡旋して、数々の方がLACの利点を紹介されています。教授と学生と間レシオや大学院生で無く教授による授業が強調されるます。出所を失ってしまったのですが、数年前にLACとResearch Universityとその大学院生を含めてた比較を紹介した記事を訳したものです。

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LAC(Liberal Arts College)は、学部教育に重点を置いていると言われます。と言うよりも、それが全てです。多くの人に優れた学者と思われた教授でも、学生による教師としての授業評価が冴えない理由でSwarthmoreにテニアの教授職を断られています。学生による教師としての授業評価は、テニアの教育職の判断には、Harvard, Yaleは勿論、Princetonでさえ無関係です。しかし、Swarthmore等のLACでは、学生による教師に対する授業評価は決定的要因と為りえます。これは、HarvardやYaleのResearch Universityの教授の講義が悪い訳ではありません - 多くの教授の講義は素晴らしいです。Research Universityでは、学部生への教育が全てでは無いのです。

それでは、何故Research Universityへ習いに行くのでしょう。Research Universityへ行くような学生は、手を取り足取りして習う必要が無いし、欲しくも無いのです。この様な学生は、優秀な人達の中で、今現在話題の最新の研究や学問を生に触れ、甘やかされる事なく習い、自分を量り磨いて行きたいのです。少々学部生への教育重点性を失っても、より多くのイベントと大きな環境を求めているのです。大学院生は、Research Universityの一部分と考えて良いでしょう。名門大学は、優秀な大学院生を抱えています。彼らは学部生の経験を豊かにし、教授から習う手助けをしてくれます。彼ら大学院生は、University機構の一つの利点と考えるのです。そう思われないのならAmherst Collegeに行くべきでしょう。

DartmouthやGeorgetownをLACとして考慮しない限り、4千人を超える学生のLACはあまりありません。一般にLACは2千人程の学生を抱えています。小さいサイズのResearch Universityは、5千人程の学部生を抱えていて、多くの大学院生を抱えています。Research Universityには、LACに比べ4倍程の教授陣と専門分野を教える大学院生が居て、多くの外部講義者が来ます。大きな環境下にて、統一性が少し欠け、大学院生との関係がおそらく大事になります。図書館の大きさも差が顕著でしょう。

Williamsの古典学部には、5人の教授。1人はイスラエル学も教え、2人の名誉教授、2人の関連学部教授(哲学と美術)。Cornellの古典学部は、19人の教授と3人の博士を持っている学者と同人数の大学院生。またWilliamsと同人数の名誉教授と関係学部教授を抱えています。Arts and Sciences学部生徒はWilliamsの約4倍弱です。古典学の学生仲間は少なくとも百人はいるでしょう。これは、より多くの人と議論でき、同じクラスで毎回顔を合わせて飽きることはないでしょう。おそらく15-20の入門コースでないクラスが各学期に提供されています(Williamsでは学生が少ないため2年に1回教えるクラスがあります)。教授との距離は少しありますが、大学院生と飲みに行き彼らの生活の話や論文の説明を聞く事はあるのではないでしょうか。

教育に上手な教授による少数の学生のクラスで勉強したいのなら、良いLACが向いているでしょう。(注意:LACが必ずしもResearch Universityよりも、一クラスの学生数が少人数とは限りません。) 全てにわたる専門の最先端の知識とそれを持っている教授の近くにいたいのなら、他の学生と少し競う事もあるでしょうが、HarvardやYaleのようなResearch Universityが好いでしょう。どちらにしても、選択は個人の性格と好みによって自分にあった大学に行くべきでしょう。

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しかし、トップ20のResearch Universityの教授と学生のレシオを調べると、トップのLACと同じ比率です。では、上位校での違いは有るのでしょうか。つい最近同様な事がここに論議されています。

7 件のコメント:

  1. トップLACでも学生の数が少ないために専門のクラスが毎年教えていません。2年に1回とか、学生が集まったらクラスを開きます。習いたくてもクラスが有るとは限りません。それに比べuniv.は定期的に全てのクラスがを教えています。univ.では大学院生と先端の授業を受ける事も出来ます。アメリカでは、成績の良い学生はまずuniv.を選びます。LACのある土地で就職するのでなければuniv.の選択しか有り得ません。LACはその土地の人しか知ってません。地方大学です。
    2011/05/16 21:36:00

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  2. 米国では、LACに限らず名門校ですらHarvard Yale以外Ivyでも知名度は下がります。日本の感覚では、全ての大学が地方の大学です。

    offerされているクラスの数では、確かに匿名さんの言われているように総合大学のほうが多く言われいる様な利点とLACの弱点でしょう。しかしクラス毎の少人数でディスカッションベースの授業の利点も見逃せず、最近米国内で人気が上がっています。

    お互いの利点と弱点を理解して選んで行くべきです。

    ただ、日本からの留学生はディスカッションベースの授業にどれだけ付いていけるのでしょう。特に始めのうちは心配です。レクチャーベースのほうが英語での発言力に依存するところが無い分取り付き易いのではないでしょうか。
    2011/05/17 0:31:00

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  3. 上の方とは別の匿名の者です。

    LAC、University共にそれぞれの良さがありますから、どちらが自分のパーソナリティーに向くかを知る事が大学選択の第一歩な訳ですね。

    子供の希望と親の理想は多々違うこともあり得ますから、受験前に子供自身が自らの理想を描くことは、受験時のみならず進学後の志気の高まりに通じると感じてます。

    うちの子は受験の2~3年位前から、それぞれの大学のコースガイドを丹念に見比べてました。

    この大学ではどんな勉強が出来るんだろう?
    憧れの教授は今でも現場で教鞭をとっているのかな?
    進学後の自分の描く理想に合う4年間分のコースは?
    視野を広げてくれそうな興味深いコースは?
    特に進学直後のみ履修できるフレッシュマン・セミナーには自分にとりどれだけ魅力的なコースが揃っているか?

    ・・・等の下調べをした上で大学訪問をし、進学後に自分が使用するであろう施設の状況を見比べたりFit感を確認していました。

    大学訪問前後は直接いろいろな教授や、既に各大学在学中の高校の先輩に連絡をし、かなり具体的に話を伺ってました。
    その結果、受験一年ぐらい前までには第一志望校は自然に決まり、迷うことなくED受験をしました。

    親には子供にアドバイスするだけの、アメリカ大学教育に関する知識が無かっただけに、子供自身が自分で行った下調べのプロセスは非常に大切だったと感じますし、またその姿を見ていたからこそ、出来る範囲の協力はしようと親も自然に思いました。

    今はコンピュータ時代ですから、日本にいてもコースガイドを検討したり教授とコンタクトを取ることは容易でしょう。

    ハンディータイプの通称ブルーブックと呼ばれるYaleのコースガイドは特に人気があり、高校時代、同級生間での貸し借りが頻繁に行われていましたし、これを基準に他校を見比べる子は結構いたようです。

    また大学訪問の際、アドミッションが余ったコースガイドを参考に・・・と無料でくれたり、MailingListに載ったとたんに自宅へ郵送してきた大学も結構ありました。

    いろいろな大学のコース比較を始めた頃は、まだ自分が何をしたいかは見えなかった様ですが、比較をしている内に大学で特に勉強したい事や、また今何をすべきかがかなり見えてきたのではないか・・・と思います。
    2011/05/17 3:45:00

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  4. アメリカ在住の方向けのコメントです。

    一番上の匿名さんのコメントについて:

    「トップLACでも学生の数が少ないために専門のクラスが毎年教えていません。2年に1回とか、学生が集まったらクラスを開きます。」
    一般にLACの3年あるいは4年生向けの講義のサイクルは2年サイクルで同じ講義は一年おきに繰り返されます。

    「習いたくてもクラスが有るとは限りません。」
    これは悩ましい問題です。特にJunior YearにStudy Abroadなどを選択した場合、戻って来てから講義がとれないということは確かに起こりえます。ただ、こういう場合はIndependet Studyという形で講義で予定していた内容を少人数を対象に開講することは多くのLACで行われている様です。実際に自分の子供もこの問題があったのですが、教授と1対1の授業を新規に開講してくれました。

    「それに比べuniv.は定期的に全てのクラスがを教えています。」
    確かに規模が大きいとこういうことが出来ます。ただし、LACも近隣のUniversityとConsortiumを設け相互に単位の互換を認めているケースも多く有ります。たとえば、Amherstの近隣5大学とかBoston地域の大学間の単位互換制度などです。ですから、これが決定的なLACの欠陥とは考えられません。

    「univ.では大学院生と先端の授業を受ける事も出来ます。」
    LACの場合、JuniorからSeniorに上がる夏休みにNSFがスポンサーになっているResearch Universityでの研究に参加することを多くのLACで奨励していてLACの学生は多く参加しています。ここでResearchの成果をあげSeniorでResearchを継続し、大学院でResearchをしたUniversityに進むということは多く行われている様です。

    「アメリカでは、成績の良い学生はまずuniv.を選びます。」
    地域にもよりますが、Illinois、Iowa、Indiana、Wisconsin、Michigan、Ohio、Virginia、Georgiaなどでは顕著な様です。Californiaでも似たような傾向はあると思います。

    「LACのある土地で就職するのでなければuniv.の選択しか有り得ません。」
    上と同じで、地域にもよりますが、Illinois、Iowa、Indiana、Wisconsin、Michigan、Ohio、Virginia、Georgiaなどでは顕著な様です。ただ、大企業の幹部コースはLACを好んで採用します。これはGE、IBM、P&Gなどのウェブサイトで確認出来ますし、幹部のbioがウェブサイトに掲載されていますのでここでも確認出来ると思います。

    「LACはその土地の人しか知ってません。地方大学です。」
    アメリカ国内でも、LACの名前を聞いて分かる人は残念ながら多くはありません。LACはその殆どが北東部に集まっており、南東部、南部、中西部、山岳部、北西部でLACの名前を出しても認知してもらえないケースが非常に多いです。その意味では地方大学です。
    2011/05/17 9:39:00

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  5. 「Liberal Educationの中にプロフェショナル向きのクラスを取込いる大学(多くのIvyとLAC等)や、プロフェショナルとLiberal Educationを分けている大学(Cornell、UPenn, JHU)と分かれてきました」 とされていますが、
    後者の大学のシステムは、どのようなものなのでしょうか?

    又、JHUはメディカル、UPennは ワートン校のビジネス、が優れていると聞きますが、Cornellはどうでしょうか?

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  6. プロフェショナルとLiberal Educationを分けている大学(Cornell、UPenn, JHU)と分けている大学システムは、Liberal Educationの基幹となるArts&Science学部、Engineering学部、Business学部とそれぞれの学部に志願します。よって、同じ大学でも複数の学部に出願できますが、学部によって合格基準も違ってきます。より日本の大学入試に近いでしょう。ただし、その分学部間の移動や専攻の変更が非常に厳しくなります。学部毎に教養用のクラスはありませんが、学部毎に独自の教養課程必須が決まっています。同じ教養用必須履修科目とは限りません。

    優れている学部は比較であり、Cornellはどの学部も優秀です。中でも有名なのは、Engineering、Hotel Management、農学部関連(経済経営を含む)、A&Sも多くの有名学科がありますし...何を選んでも、十分トップクラスです。

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  7. 詳しい説明をありがとうございます。

    理系や芸術など専門分野に特化している大学をのぞき、大抵どこの大学も、入学時にとりあえず専攻を選ぶ、もしくは入学後数年のうちに専攻を選ぶのだろうと、思い込んでいました。

    SundayDriver さんがおっしゃるように、日本の大学のシステムに近い印象ですね。

    そのようなシステムを知りませんでしたので、大変参考になりました。

    希望大学を絞る過程というStep 1の段階でも、考えていたよりも、かなりの時間と労力がかかりそうで、身が引き締まります。

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