10/04/2011

一次査定行程と対策・戦略を考える (3-1 of 5)

前2回で一次査定で行われる流れと扱われる書類の要点等を紹介しました。今回はアドミッションオフィサーが選抜で注目する点を考慮して、志願者として気を付ける事を説明します。長くなりますので、3 of 5としてますが今回は学力に関して、次回はその他事項で2回に分けています。
上位名門大学を目視する志願者の履修科目は在学する高校が提供する最も厳しいとする科目選択をし、高校のカウンセラーより成績表の「学級で最も厳しい履修科目を選択している」と表示されるコラムにチェックマークがされているのが望ましい事です。しかし、これは高校入学時からの積上げの結果です。多くの高校のカリキュラムは所得する各科目がレベル毎に順番になっていますから、英語(国語)、数学、外国語等のAPのクラスを取るには何処かで一クラス飛び級をする必要が出てきます。一番良いのが高校入学時の9年生の時になりますから、ミドルスクール卒業時点で優秀な成績で卒業してミドルスクールより上級クラスへの進学許可を取ることです。こうなると非常に早いうちからの積上げが必要です。

この点、日本の高校はアメリカのように多種レベルの授業では無く、国で統一された履修科目なので気にする事は無いでしょう。各大学アドミッションオフィサーは「Most Rigor」のコンセプトが無い事も承知しています。各国の制度に基づいて中立に判断してくれます。

成績はどの高校に通っていたにしろ、上位大学は Unweighted GPAで最低3.8/4.0(4.75/5)を期待しています。CollegeConfidential等でもたびたびトピックとして出てきますが、上位名門を目視するのなら3.8/4.0が基準で、高校のレベルにより若干の調節がされます。とは言え、履修してきた授業の殆どで優秀な成績を収めているのが一番です。(日本人留学生は以下は当てはまりませんが、各履修科目で優秀な成績を修めておくのが一番です。)

Weighted GPAは高校によって作り方が違います。また、やたらAPのクラス等を取ればかまわないのではなく、Coreとされる科目のAPとNon-Coreとされる科目があります。しかし、高校の作るWeighted GPAは差をつけません。故、大学によっては、独自にWeighted GPAを作り直します。しかし、Weighted GPAは単に一つの数字でしかありません。上位と下位に大まかなグループ分けができますが、志願者の学力の詳細を読み取れません。Weighted GPA 0.01の差が合否を分ける学力の差とは考えません。 大学アドミッションオフィサーは各履修科目と成績の関係と傾向を判断しますので、結局、成績表に載っているUnweightedの各Grade(成績)とクラスのレベルを同時に読取、判断していく事になります。「トランスクリプトを読む」と言われる所以です。AP等の高いレベルのCore科目を取り、そのクラスで優秀な成績を収めているのが鍵になります。

CollegeConfidentialには、たまにある高校Seniors達のUnweighed GPA, Weighed GPA, SATスコア, APの数と合格先大学の表が紹介されたりしますが、これを注意してみると、名門私立総合やLACsでは単に志願者達のWeighted GPAによる上から順番に合格では無く、高いUnweighted GPAの志願者の中から他の要素を含めて選ばれているのが分かります。APの数が多く、Weighted GPAが高ければ良いとは限りません。

何れにしても、成績と履修科目は、高校入学時からの積上げです。毎日の努力の賜物です。

アドミッションオフィサーは成績が優秀ならば、それなりの高いSATスコアを取っていると期待します。(家庭の所得レベルのほうが高い相関関係を示していますが、これは他の機会に。)よって、SATスコアは高スコアであるほど良いと言いながら、優秀な成績の志願者が上位5%や10%の全国平均のSATスコア圏内であれば十分なのです。また、毎年数人の志願者や合格者を輩出してる高校からだと、今までの志願者のGPAとSAT平均スコアのデータベース等を大学は持っています。そのような高校からは、少々スコアが低めでも過去志願者のGPAを基に大目に見てくれる場合も有ります。それと対象に低いGPAを高いSATにて補うのはかなり厳しい傾向があります。SATスコアは初め一年の大学成績を予測できるとしますが、大学全在籍期間の成績は高校の成績GPAの方が良く予測できるという調査結果もでています。前回紹介したReed大学では単純な割合にしてもSATは7%の比重しかありません。また、GPAとクラスランクとSATスコアの全体の考査結果で学力レベルの判断がされています。SATのスコアが「特定のスコアを取ることによって合否が決まる」とか、「もう数十点スコアを上げられれば合格出来る」というような助言をする個人カウンセラーには注意しましょう。

されど、「成績が優秀ならば、それなりの高いSATスコアを取っている」と期待するように、統計的関係は持っています。これを基にSATスコアを志願者の学力として大学選択判断材料や大学の示す査定傾向に使われます。

アメリカの学生は闇雲に上位校に進学するとは限りません。進学後の成績や環境に気を配ります。一般にSATの大学の平均総合スコアが自分の平均総合スコアより約100ポイント高い大学に進学する傾向がある。それより高いと、入学後の同級生との学力の差や大学での成績を考慮して、合格しても見送る傾向があります。最近は就職段階で大学のGPAを履歴書に載せるようになりましたので、この傾向はますます強まるようです。大学側もSATスコアのポイント範囲毎にYieldを調べて傾向を追っています。挑戦校選択の折はこの点にも注意して下さい。

逆にSATの総合平均が上位25%以内、特に上位10%以内に位置する志願者はその志望大学を滑り止めに使用していると考えられ、確かな進学する興味を示していなければ大学側は合格を控えWaitListに載せる可能性があります。これをタフツシンドロームと呼びます。HYP以外の上位名門大学は、志願者の熱意と興味度を統計的調査結果に基づきYieldに注意しながら合否を決めます。「ステルス志願者」でも紹介しましたが、成績が志願者層最上位にいるから合格が確実とは成りません。大学訪問やアドミッションオフィサーとの連絡の上、エッセイと履歴や推薦状を上手く使い志願者の進学意思を熱意を込めて示しておく必要があります。

大学を選択して行く上で、志願者のSAT平均がミドル50%圏内(25%から75%圏内)なら進学後に当大学にての学力が十分見合っている事を示しています。しかし、合格への競争力が十分あるとは言い切れません。学力項目に限れば、上位50%以上(できれば75%辺り)のSATスコアと優れて成績でなければ、入学許可を貰うには十分な競争力が有るとはいえません。他項目で補う必要が高まります。大学選択の折、進学後の学習能力や同級生との競争力と入学許可を受ける為の出願者同士の競争力は別にして考える必要があります。名門私立の選抜では、学力以外の項目の重要性が高いので、クラスランク、GPA、標準テスト、学校のレベル等は以前にも紹介したように基準とされる進学後の学習能力を満たしていれば十分とされ、他の項目で魅力を発揮できれば良しとされますが、志願者同士での競争力が十分有ればもっと良いでしょう。

長くなってしまいましたので、続きは次回に。

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