10/07/2011

一次査定行程と対策・戦略を考える (3-2 of 5)

前回の続きで、アドミッションオフィサーが選抜で注目する点を考慮して、志願者として気を付ける事を説明します。長くなりますので、前回は学力に関して、今回はその他事項です。

推薦状を先生に依頼する際は、前もって志願する各大学のミッションや大学へ強調して貰いたい点等を伝えておきます。先生によっては、全ての大学に同じ推薦状を書く方もいますが、生徒の希望に合わせ大学に沿って少しずつ内容を変えてもらえます。同様にカウンセラーにも活動に関して書いてもらいたい点を伝えておきましょう。

必須とされる人数より多くの推薦状を提出する事を大学側は拒みません。しかし、アドミッションオフィサーは必須としている数の推薦状は必ず読みますが追加分はアドミッションオフィサーの選択になります。興味を持たれれば読むでしょうし、時間が無ければ無視するかもしれません。カウンセラーからの推薦状は必ず読まれるでしょうが、他の推薦状は志願者の読んでもらいたい順番が付いていませんから、誰の推薦状が読まれるかは分かりません。数ではなく、質で攻めていくのが良いのではないでしょうか。

日本からの志願者が高校の先生に推薦状を依頼する場合、書く内容に不慣れで勉強の能力を強調して、クラス内の参加態度や学習に対する個性に欠ける場合があります。以前紹介しましたよう、アメリカの上位私立大学は違う視点からの内容を期待していますので、先生と前もって相談してその旨を伝えておきましょう。

面接は、必須で無くても出来る限り行っておく事をお勧めします。多くの大学の奨学金最終選択者等には必ず面接がある様、アメリカの大学は個性を大切にする為、人柄や会談での受答え態度等に注意をくばります。合否へ直接影響する事は無いでしょうが、面倒がらずに行っておきましょう。志願者の大学に対する進学興味度の向上にもなります。

エッセイは多くの参考文献等がありますが、最も大切なのは志願者の個性が表現されている事です。完全な書き方はありません。毎年数百ものエッセイを読んでいると大人の書いたエッセイと生徒の書いたエッセイの違いも直ぐに分かるそうです。複数の大学へ同じエッセイを送る場合、エッセイの中にある大学名が正しく修正されているか確認するのを忘れずにして下さい。スペルチェックで引っかからない為、思ったより多く起こっています。大学側も理解してくれますが、今ひとつ印象を悪くします。

数文で済ませるショートエッセイもとても大切です。アドミッションオフィサーは、幾つものショートエッセイからも志願者の表現力を測るだけでなく、個性や人格を読み取ろうとします。ショートエッセイと普通のエッセイと書かれているエッセイ全ての繋がりを大切にしています。

課外活動のリストを作る場合は、出来る限り強調したい活動が上に来るようにします。強調したい活動は必ずしも賞と取った事とは限らないでしょう。長年興味を持って行ってきた活動であったり、今後大学進学後にも行いたい活動かもしれません。特に大学へ進んでから参加したい課外活動は書き込みましょう。エッセイ等で表現した志願者の興味に関連している活動なら尚更です。

リーダーシップの役割をはたしている活動は、活動を紹介する1句の中で志願者のリーダーシップで達成した事を書きます。その上、高校のカウンセラーに志願者のリーダーシップに対する手腕を推薦状で触れてもらうようにしましょう。最近は、高校によってはやたらとクラブを作り多くの役を作ったりして無意味なリーダーシップ的役が履歴に書かれている事をアドミッションオフィサーは知っているので、単に履歴に書かれているだけでは非常に弱いものになってしまいます。

数多くの課外活動とそのリーダーシップ的役タイトルを履歴に乗せる志願者がいますが、数より質で活動内容と何をリードしてきたのかが重要です。アドミッションオフィサーが知りたいのは、志願者が如何にビジョンと目的を作り上げ、どのようにその目的にメンバー達から同意を得、導き、達成していったかの内容です。大人や他人から与えられたビジョンではありません。また、志願者に世界平和や無所特階層社会、新しい業種や会社を作る等も期待していません。高校や地域の小さなグループで小さなニーズに立ち向かって行ったかを伝えて下さい。

上位名門大学へ進む志願者の課外活動、特にHYPへ進む学生の課外活動は「国際舞台の機関からの賞、国レベルの賞や運動大会上位入賞を載せ、その様な学生ばかりが入学している」と述べる方々がいますが、その様な事はありません。多くの学生は、州レベル(日本なら県)ですら入賞していません。上位10の私立総合大学やLACsの合格者は2万人を越え、HYPだけでも約6千人を超える合格者がいます。国際大会や全米レベルの色々な賞を集めても6千人分もありません。有名な大会で入賞すれば、査定で大きな助けになりますが、入賞していなければ合格できないのではありません。しかし、熱意を持ち深く活動に参加してクラブや機関に貢献が必要です。その熱意と興味をいかに大学のミッションにつなげ、アドミッションオフィサーに伝えるかが願書作りの鍵です。

多くの上位私立総合大学とLACsはスポーツで全米上位ランク校ではありません。ほんの数校です。この数校以外は、全米トップレベルのスポーツ選手を集めようとはしていません。全米トップ選手は大抵スポーツで有名な州立大学へ進みます。上位私立大学は全米優勝ではなく、それぞれの大学リーグでの優勝を勝ち取ってくれる選手を探しています。貴方はそのレベルの選手ではありませんか。演奏家の志願者も同じ事です。志願者が国際的や全米で賞を得ている演奏家の必要はありません。もし、大学のオーケストラのオーボエ演奏者全員が卒業して居なくなっては困ります。その様な事が起きる場合は、この大学はオーボエ演奏者の志願者を欲しがります。大学のオーケストラで演奏してくれる学生を探すのであり、全国入賞した演奏者を探しているのではありません。たまたま、全米トップの演奏者で大学のオーケストラで演奏してくれるのなら、大学にとって喜ばしい事になります。

次には、最近良く話題になり注意が必要とされる、パッケージング。必要書類をいかにパッケージとして作り上げて行くかを考えて見ましょう。

1 件のコメント:

  1. 日本からの志願者です。
    とても参考になる記事をありがとうございます!

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