10/11/2011

一次査定行程と対策・戦略を考える (4 of 5) パッケージング

出願書類を構成して行く上で、注意して頂きたい数点を紹介します。

アメリカ名門大学の査定は、それぞれの大学が定めた基準値に達しているか、その基準値をどれだけ超えているか、基準以上に何を大学に提供してくれるか、と基準値から志願者の良い点を加算して、その優良なエキストラな魅力を基に選抜しています。アメリカの査定は百点満点から誤りをマイナス点を引いていき、どれだけ満点に近いかで選抜して行くシステムではありません。日本や中国の入試試験の良い結果から順番に選んでゆくやり方ではありません。レベルの高い高校で全てAの成績を修めてSATを2400取っているのを完全として、其処からどれだけ隔たっているかで合否決定は行っていません。

優れた学力も一つの資質です。よって、学問で優れた賞を得た志願者に入学許可を出しますが、その様な生徒ばかりに許可を出していません。その一つの例がSAT2400で優秀な高校で全てAの生徒でも上位校に不合格になる志願者がいます。また、数学オリンピック最終メンバーやIntelやSiemensの科学関係の全米レベルの大会で最終メンバーに残って賞を得た生徒でも、全員上位校に合格していません。いずれの大学も一定の人数この様な生徒に合格を出せば、他の資質や魅力を持った志願者を選択して行きます。

以前の投稿で、名門大学はwell roundedの学生を探しているのではなく、色々な資質と特徴を持った学生を集めてwell roundedな学園を作ろうとして、アドミッションオフィサーは学生を選んでいると紹介しました。大学は、大学の定めた標準に近い志願者を探しているのではありません。また、「標準に達すれば良い、欠点が無い」の発想では、貴方が大学が求めている学生であると願書で訴える上で物足りない物になってしまいます。

Princeton大学で成績優秀なのにWaiting Listに乗る理由で再々言われるのは、万遍なく優秀な生徒だけれど、これと言って際立つ魅力が無い志願者。または、特質があるが、今一歩魅力に欠ける。他にもう少し魅力を読み取れる志願者がいるから、その志願者が入学を見送ったら合格にさせたい志願者等です。

貴方の特質や魅力をアドミッションオフィサーに願書から読み取ってもらえるように作り上げらなければなりません。願書作成開始前に、自分の特質や大学に強調したい魅力とその魅力をどの様に願書の中で表現して行くか考えておきましょう。貴方と同じ資質を持った競争相手は、実力では同等かもしれませんが、願書の中での魅力の表現しだいでは貴方よりずっと素晴らしく写るかもしれません。

しかし、一度アドミッションオフィサーが貴方の資質に魅力を感じたら、多くの場合は、貴方の味方にになってくれます。アドミッションコッミッティで二次査定のミーティングに提出された場合は、このアドミッションオフィサーが貴方をミーティングで推薦し、合格を後押しをしてくれる事になります。

日本からの留学生志願者へSAT上位10%になるスコア650をCritical Readingで達成しないと名門大学への合格が無理とし、その上さらに10点でもスコア上昇を合格の近道とし、SATの参考書販売や塾への斡旋を強調するカウンセラーもいますが、大学の発表している上位25%以内のスコアでなければ数十点のスコアの違いは余り意味がありません。以前に最上位LACsの東洋系と黒人志願者のSATスコア範囲を紹介しました。これら大学が発表している中間50%よりも低い値でも合格者はでています。大学が入学後に最低必要とする学力基準と中間50%の差が理解できるでしょう。これは、英語を母国後としているアメリカ人のスコアです。英語を外国語とする日本からの留学生に対しては、TOEFLのスコアと共に考慮してSAT Critical Readingのスコアを確認します。もし貴方のSAT Critical Readingのスコアが中間50%レンジに入っていれば、既に十分な学力を示しています。中間50%より低くても足きりされる事もありません。このスコアを数十点伸ばすより、貴方の本来の魅力をエッセイと共に願書内により良く表現するように時間をかける方が有効でしょう。

書類を書く上で注意して頂きたい事は、読む側のアドミッションオフィサーの身になって作っていきます。指定された所に適切な情報を書くようにします。アドミッションオフィサーは約15分程度の時間で志願者一人の全書類をを読み上げます。各オフィサーはCommon AppやSupplementsの構成を熟知しています。各志願者が必要な情報を、その書類の適所に記していると期待しています。違う所に書いたり、勝手な追加書類に書き込んで送ると読んでもらえない場合があります。アドミッションオフィサーは、時間を節約するため真っ先に知りたい情報を書いてあるべきとする書類のセクションを見ます。時間をかけて、貴方の為に提出書類の中から必ず探してくれるとは保障できません。また、必ず読んでもらいたい事項は、大学が必須とする書類の中で最も適切と思われる所に記載するようにしましょう。「書くべき所に書かなかった」貴方の責任とされます。

日本からの留学生は特に気をつけて貰いたいのは、アメリカ人による査定である事。日本独特な発想や期待をするのは止めるべきでしょう。特別に追加書類を貴方が作ったからとか、貴方の高校の先生が特別に追加書類を作成したからアドミッションオフィサーが特別な苦労を汲んで配慮する等は期待できません。大学が必須としていない書類はあくまでも追加であり、読んでもらえた場合でも内容が届ける貴方の魅力のみが評価されます。

重要なコンセプトは、出願書類のプレゼンテーションが鍵になる事です。貴方の資質や魅力と貴方の大学入学後の興味が出願書類全体で一貫性のあるものにしていきます。貴方の最も伝えたい貴方の資質や興味を上手くプレゼンテーションできるように作っていきます。興味ある専攻は、高校で履修した科目と関連していますか。課外活動やエッセイと希望専攻や進学後の興味を持つ活動に関連性がありますか。先生やカウンセラーの推薦状は、貴方のエッセイが示す興味や熱意をもって行ってきた課外活動に関連した内容が含まれていますか。

この出願書類全てを使って上手にプレゼンテーションを構成して行くのに、優れたプライベートカウンセラーを雇う志願者が特にアメリカの高所得者層にいます。最近では、西海岸の東洋系在米志願者や中国人が同人種間での競争が激しくなった為、同様にプライベートカウンセラーを雇うようになっています。このカウンセラーは、エッセイの添削等やSATのスコア向上の手助けをするのでは無く、書類全体が示すべき貴方の資質選択やプレゼンテーションを考慮した書類構成の手助けをしてくれます。個人的には使用した事はありませんが、非常に効果的な手助けだと聞いています。

最後に、各書類はいっぺんに提出する必要はありません。Application以外の書類を先に送っても、大学は貴方のファイルを制作します。準備のできた書類や仕上がった書類は順次送っておくのも良い事です。全ての書類が揃った段階で査定を始める大学もあれば、一定の書類が揃う度にその項目の査定を行う大学があります。最終的に願書を提出する決定をしていない大学でも選択の最終候補にある大学に成績表や推薦状等を早いうちから高校に頼んでおいて、忙しくなる前に送ってもらうのもお勧めします。

次回は、奨学金を考慮しながら、貴方の学力を魅力にできる大学の選択と願書提出時の注意する事を紹介します。

2 件のコメント:

  1. 高校シニアの子どもがおりますので、参考にさせて頂いています。
    次回の記事も楽しみです。     Hana

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  2. いつも素晴らしいインフォメーションをありがとうございます。

    うちの子はまだジュニアですが、今から色々教えて頂けて、感謝です。

    パッケージングの大切さが叫ばれる一方で、プロの大人が手を加えてパッケージングしすぎることへの警告も聞かれるので、すごく混乱しています。

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