7/04/2011

アメリカの留学生受入れ実態と中国人留学生 - 其の1

年次アメリカ高校卒業生総数は2009年をピークに下がり初めています。今は各年卒業生の降下率が各年卒業生の大学希望者の伸び率を勝っていません。しかし、時間の問題と予測されています。国際化の旗印を掲げて留学生を取込む必要性はアメリカの高等教育システム維持として、経済的観点で、死活問題として話題になります。これは、以前にも増してアメリカ各大学のアドミッションオフィサーによる海外大学紹介が活発に行われている事でも理解されていると思います。大学のSelectivityを此処に紹介しましたが、アメリカの大学は、ほんの一部である上位百数十校を除くと大学は生徒確保に苦労しています。上位校ですら、将来の学生確保の一つの方法として、留学生確保に以前より力を注いでいます。

其れにも関わらず、アメリカへの留学生2010年の伸びは3%、大学新入生伸び率は1%です。(2009年の伸びは8%、新入生は6%。)中国人30%という伸びが無ければ、全留学生総数は約1万人の減少になっていました。この原因は、大学の収支悪化に伴い留学生用リクルート活動の減少、不均衡な経済の影響により、韓国、ベトナムや他の国々からの学生家族と政府の投資資金の減少等と言われています。1970年代末のイランからの留学生、1990年代の日本からの留学生と、一国からの多くの留学生受入れに依存し、その悪影響を経験している為、今回の中国人留学生による救いの手にアメリカの大学関係者は複雑な思いを抱いているようです。

1990年代反日記事が多くアメリカの新聞で取上げられたように、アメリカ経済の悪化、特にアメリカ人一般家庭の就職不安に対し、中国の経済良好への不満の捌け口として、反中国的記事や中国人留学生の伸びに宛も大学が中国人ばかりになるような、不安がらせる記事に振回されがちです。ここで、中国人留学生によって日本人留学生が特別に不利になったり、入学枠が無くなったりするのか考えてみましょう。

「全国大学統一入試」通称「高考」がよく問題視され、高得点を得られなかった中国人学生が留学するといわれますが、米国高等教育関係者は中国経済発展に伴う中流階層の高等教育志向に中国政府高等教育施設伸展が間に合わない為、留学生が増えざる負えないと考えています。留学生を受入れないと言われる日本でも既に平成17年度には中国人留学生は7万人、留学生全体の半分を超えています。日米高等教育のように需要と供給に均衡が取れず、中国内で供給が需要に追いつかない間、施設の充実に遅れている間は中国人の留学は続くでしょう。アメリカでは2010年に年間希望者が3万5千人になったところです。日本と比べ2倍以上の人口、6倍強の総留学生数と比較すると未だ余裕があります。

韓国、インドや他の発展途上国と違い、中国からの留学生には2つ大きな違いが現れています。ビジネスや技術系専攻だけでなく芸術、文学、Theater専攻と多種に興味が分かれ、将来の職業目的だけでは無く、教養目的が多い。2つ目は上位数十校に集中傾向に非ず地方州立大学まで多くの地域の違うレベルの大学に進学している事です。アメリカ高等教育全体から見ると、この中国人留学生の伸びは国際化と交流を考慮すると喜ばしく、経済面からも喜ばしく考えています。むしろ、いまだ一国に依存する現状、中国人留学生の減少対策の必要性を上げる方々もいます。

では、此処に続きとして上位大学とその他の大学への影響はどうなっているか続けます。

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