7/20/2011

Financial Aidと査定過程 - 其の2

他の投稿を見ても分かるよう、留学生にもFinancial Aidの機会はあります。国内用Financial Aidを受けられる方々も、留学生用のFinanical Aidを受けられる方々も同じ様な査定で選ばれて行きます。Meet full needと単にNeed basedの大学の例を見ていきますが、その前に統計の平均の読取の難しさの例を紹介しておきます。ある小さな大学は、1.5百万ドルのGrant用予算があるとします。COSは5万5千ドル。簡単にする為Finanical Aidには5千ドルまでは必ずローンを付けるとしましょう。同じ予算で4つ違う組合わせです。しかし、支給された生徒数は、50人から79人と大きく差が出てきます。個人に支給されているAidの金額も差があります。1と2は支給金額平均は3万5千ドルです。3は23,987ドル。4は31,315ドルと平均に違いがでてきます。

1.全員が同じ金額を支給されるとすると3万ドルのGrantと5千ドルのローンの5万5千ドルのAidが50人に与えられます。
2.Full Rideの生徒を与えたいなら、25人に5万ドルのGrantと5千ドルのローンを組んで5万5千ドルのAid。残りを25人に1万ドルのGrantと5千ドルのローンを与える事ができます。
3.Full Rideの生徒を29人として5万ドルのGrantと5千ドルのローンを組んで5万5千ドルのAid。50人に1千ドルのGrantと5千ドルのローンで6千ドルのAid。
4.上記はやり過ぎなので、27人に5万ドルのGrantと5千ドルのローンを組んで5万5千ドルのAid。他の30人に5千ドルのGrantと5千ドルのローンで1万ドルのAidにもできます。

大学は志願者をどうやって効率的に集める事が出来るか。合格者をどうやってより効率的に入学してもらうか(Yield)研究を怠りません。Financial Aidをどの様に分配すれば効率良く使えるのか。これがEnrollment Managementの一つです。滑り止めに使っている学生に唯良いAidを支給しても効率は上がりません。他の第一志望としている学生に同じ様なAidを支給した方が有意義でしょう。でも、他の大学よりも素晴らしいAidを提示すれば、この学生は滑り止めの学校では無く、進学したい学校と気持ちを変えるかもしれません。期待されるAid額が1万ドル程度の家庭に5千ドルのGrantと5千ドルのローンを組んだパッケージを提示すると、この家庭は結局5万5千ドルの内5万ドルの負担です。不満に思われるかもしれません。しかし、この様な家庭では5千ドルの追加負担はどうにか出来ると思われます。4万ドルのGrantを与える家庭に5千ドルのローンを付けても余り見劣りせず、素晴らしいAidに思われます。しかし、もし差額の1万ドルがギャップなら、この家庭にとっては一万ドルは支払い不可能な金額がもしれません。各大学は過去のデータを基に効率良いFinancial Aidの配分を考えています。各大学によって志望する学生層が違う為、此処の特徴を考えてタイプを確認しなければ、配分の傾向は分かりません。また、各大学は独自の方法を取っています。

収入毎に何人援助を支給している等の比較用統計は出回っていませんので、配分を確認できません。ただ下の表は、2008年のPell Grantを米国政府から受けた生徒の割合です。これは、米国低所得者でPell Grant以外は大学からのGrantで費用を賄っているはずです。どれだけ全額支給している生徒を受け入れているかの目安とされます。この生徒数が増える分、逆に平均より低い援助を受けている生徒数が多くなります。また、多くの低い援助の生徒で違いを相殺していると全体の平均も低くなってきます。2年程前にハーバードのPell Grantを受けている学生の少なさが話題になり、低所得者層の入学困難な環境だとマスコミに指摘されました。昨年は10%、今年は15%に増えたと発表しています。(Need blindでどうやって上手に調節するのでしょう。)

HarvardYalePrincetonAmherstSwarthmoreWilliamsCarletonMacalesterSmith
6%9%10%16%10%15%10%15%24%

前回同様Financial Aid 統計 need based - need blindsとneed awareの表を見て下さい。Need blindと awareの大学です。Finanical Aid用予算の大きさによってローンの支給される割合が変わってきますが、大学が判断する各家庭が必要とする金額100%まで支給されたとされています。Need blindとawareでは資金の大きさ以外は余り違いは見受けません。援助とCOAの差額は、各家庭が払いたいと思っている金額でも払えると思っている金額でもありません。大学が各家庭が払えると判断する金額です。Carleton, Smith, Reed等多くのMeet full NeedでNeed awareの方針の大学は、90から95%の生徒はNeed blindと同じく志願者の合格が決まり、残りの5%から10%が資金の残り具合を考慮して選択されると発表しています。優れた成績と資質を持つ志願者が先ず選ばれ、もし資金援助が必要なら真先に配分されています。決定的に不合格の志願者も既に残っていません。この5%から10%に入るのは合否ボーダーラインにいる志願者達で、多くは合格になるかウエイトリストに残ります。勿論Enrollment managementの観点からすると、資金援助も志願者の必要を十分に満たして是非とも入学して貰いたいと言うよりも、資金繰りをどうにかしてでも入学したいと欲しる生徒に来て貰いたいところです。また、この範囲に入る志願者で入れ替えもかまいません。そうなると、Finanical Aidの資金に厳しいとAidを志願していないFull payを選ぶ事にもなります。ただ、極小額のAidを希望しているので無ければ、Aid金額自体も余り良いパッケージも期待できません。悪いパッケージで支払い不可なら、不合格を受取ったのと同じ事です。少額の援助希望者かFull Payを選ぶかは大学の方針にもより、一概に言い切れません。注意する事は「平均支給金額」等金額自体は余り役に立ちません。Need basedでは各家庭の財務状況に左右される為、COAと平均支給額を比較しても、貴方の支給期待額にはならないのです。

Meet full needでNeed blindの大学が本当にFinancial Needが合否に一切関係しないとすれば、合格決定は志願者の成績と資質で決まります。合格決定時に待遇順位等が考慮されその後Financial Aid支給額やローンの額に差が付いてくるでしょう。Enrollment Managementにより、大学が非常に欲している生徒でFinanical Aidが必要なら、素晴らしい援助額でしょうし、ギリギリで合格なら多くのローンで組まれたAidの可能性が高くなります。見劣りするFinancial Aid パッケージでしょう。Need blindであってもFinanical Aidの必要性を予測しながら査定を行っていればNeed awareの大学と同じ様になります。どちらにしても待遇順位が高いところで早くから合格が決まっている志願者なら素晴らしいAid額を支援してもらえますが、ギリギリで合格が決定されているなら期待からかけ離れた支援金額の提示に驚く事になる可能性が大きくなります。注意して下さい。大学の資金の使い方は大学の自由です。

次にMeet full needでない大学を見てみましょう。此処に例としてFinancial Aid 統計 - not meeting full needを載せています。先ず「Needが必要と判断された人数」、「Aidを支給された人数」と「Needとされる全額が支給された人数の割合」に注意して下さい。そして、「Needに対して支給された平均%」。全額支給されている家庭の分、「Needに対して支給された平均%」より低い金額を支給されている家庭があり、その差額を何らかの方法で支払っています。もう、誰が全額支給を受取り、誰が「支給金額」と「必要とされる金額」の大きな差のあるAidを受取る可能性が高いか想像できるでしょう。

長くなりましたが、結論はFinancial Aidはスカラーシップであれ、Grantであれ、Meet full needであれ、Non meet full needであれ、Need blindであれ、Need awareであれ、同じ様に大学が如何に貴方が"Fit"していると判断するかによってきます。貴方の優れた成績が志願している大学の求めているレベル以上であれば、後は貴方の大学に提供する資質とタレントに左右されます。大学が貴方に是非入学して貰いたいと望むなら素晴らしいAidのパッケージを提示するでしょう。Needに見合った確りしたAid金額が必要で、見劣りするAid額では進学不可能ならば、それは不合格を受取ったのと同じです。Financial Aidが必要なら、恐れずにCommon AppのFinancial Aidにチェックして下さい。Financial Aidの出願をして下さい。Financial Aidに志望したからといって査定過程から外される訳ではありません。また、Financial Aidに志望しなかったからといって自動的に優先権を得られる訳でもありません。多くのFull Payの志願者もいるのです。むしろ、毎年変わる大学が必要とするタレントは分からないので、幾つかの大学からFinancial Aidの提示を貰い比較出来るようにしましょう。

貴方の合格とFinancial Aidの額は貴方の成績と貴方が大学に対して表現する自分自身の資質で決まります。大学全体の合格率やFinancial Aid支給率からのランダム選択ではないので、如何に願書を上手く構成して自分の資質をアドミッションオフィサー達に訴えるかが鍵になります。頑張って下さい。

3つ程、注意して頂きたい点があります。入学時にFinancial Aidに志望していないと失業等の余程の変化が家庭に起こらない限り新しく2年次にFinancial Aidの志望ができません。2つ目は留学生はビザ発行の為に4年間の学費を支払う能力証明を出す必要があります。この証明にFinancial aidの補助額が必要なら大学からのAid証明がいります。最後に最近はメリットベースのスカラーシップでも家庭の資産と年収開示を求める大学が多くなりました。Needベースとメリットベースの差が無くなってきています。

1 件のコメント:

  1. パレートの法則をしってますか。80%の恩恵は20%の上位FA受理者にいって、残りの20%の支給分を80%のFA受理者にいっているのでしょう。

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